COPD(慢性閉塞性肺疾患) | 旭川なかの呼吸器科内科クリニック

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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか?
慢性気管支炎や肺気腫などにより慢性的に気道が閉塞し肺への空気の流れが悪くなる病気の総称です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)について

社会的に注視していかなくてはならない病気です

従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称を、現在では「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼んでいます。
慢性の咳、痰、息切れが代表的な症状であり、初期では症状が軽く自分でも意識されないことがあります。

COPDはタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、タバコを一定期間以上吸ったことのある40歳以上の方に発生しやすいと言われています。

COPDの患者さんの90%が喫煙者という報告があります。
また、タバコの害は男性に比べ女性のほうが受けやすいといわれているので、受動喫煙も含めて女性の方は一層の注意が必要です。
世界中で問題となっている、いわゆる「タバコ病」の代表格です。

最大の原因は「タバコ」です

COPDは、主にタバコの煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症が起き、咳や痰が出たり、気管支が細くなることによって空気の流れが低下したりします。特に息が吐き出しにくくなる症状(気流制限)が出ます。

また、気管支が枝分かれした奥にある「肺胞」という部分が破壊されて「肺気腫」という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。
COPDではこれらの変化が併存していると考えられており、治療によって元に戻ることは残念ながらありません。喫煙者の15%~20%がCOPDを発症すると言われています。

正常な肺

気管支

気管支内部がきれいなので、正常な呼吸ができる。

肺胞

一つひとつの肺胞がしっかり機能していて空気がスムーズに出入りする。

COPDの肺

気管支

気管支の壁は厚く腫れて、内部が狭くなり、呼吸をしづらくなる。分泌物の痰が増え、咳が止まらなくなる。

肺胞

肺胞が破壊されて大きな袋状になる。肺自体の弾力性・収縮性が低下する。

代表的な症状

COPDの症状は主に2つの種類があります

COPDには主に”咳・痰”の症状が出るタイプと、主に“労作時呼吸困難(動いた時の息切れ)”の症状が出るタイプがあります。
慢性的な咳や痰、歩行時や階段昇降時など運動時に息切れを感じる「労作時呼吸困難」が特徴的な症状です。
労作時呼吸困難とは、安静時にはなんともなくても、階段や坂道の上り下りなどの軽い運動で、呼吸しにくい感じ、息切れ、息苦しさを感じることをいいます。
タバコを吸っている方は普段から咳・痰の症状があり、COPDで咳・痰の症状が出ても病気だと気づかないことが多いため、労作時呼吸困難の症状で病院に来られるが多いように思います。(「普通の人と同じように歩けなくなった」
「階段や坂が苦しくなった」などと仰る方が多いです)
一部の方においては、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や発作性呼吸困難など、ぜんそくの様な症状を合併することもあります。

検査方法について

長期の喫煙歴があり、慢性的に咳、痰、労作時呼吸困難があればCOPDの疑いがあります。確定診断には、ぜんそく検査と同様にスパイロメトリーと呼ばれる呼吸機能検査を行います。
努力性肺活量(思い切り息を吐き出した時に吐ける全体量)と、その時に最初の1秒間で吐ける量(1秒量)を測定して、
その比率である1秒率(1秒量÷努力性肺活量)が、気道の狭くなっている状態(閉塞性障害)の目安となります。この検査で気道制限の有無と程度が分かることになり、重症度の判定をします。

また、肺がどの程度壊れているかを見るために胸部CTなどの画像検査を行う場合もあります。

COPDは全身の炎症、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症などの併存性を伴う全身性の疾患です。 これらの肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、併存性を含めた病状の評価や治療が必要になるケースもあります。

治療について

喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいますので、まずは禁煙が治療の基本となります。
重症度に応じて、気管支拡張薬やステロイドなどを吸入、あるいは内服薬として投与します。
非薬物療法では、口すぼめ呼吸・腹式呼吸などの呼吸訓練、運動療法、栄養療法などの「呼吸リハビリテーション」と呼ばれる方法が中心となります。

低酸素血症が進行してしまった場合には、在宅酸素療法を導入します。
さらに呼吸不全が進行してしまった場合には、小型の人工呼吸器とマスクを用いて呼吸を助ける換気補助療法と言われる方法が導入される場合もあります。
症例によっては、外科手術をして過膨張した肺を切除することも検討される場合があります。

症状および生活の質の改善

運動能と身体活動性の向上および維持

増悪(経過中に急に悪くなること)の予防

疾患の進行抑制

全身併存症および肺合併症の予防と治療

生命予後の改善